猿の検知 無線バージョン センサー子機

機能の概要

センサー子機設置

センサー子機設置 拡大


体温を持つ動物が焦電型赤外線(人感)センサーに反応すると、信号が2.4GHzの電波で親機に伝送されます。また、反応時にケース前面のLEDが点灯し動作が確認できるようにしています。
このセンサーは反応角度が120°と広いためフードを設けて不要な光の侵入を防いでいます。特に太陽光が直接センサーに当たることがないように、また人による不要な反応をできるだけ防ぐようにしています。
場所によっては農作業やメンテナンスなどでセンサーに反応してしまうこともあります。今回、このような場所のセンサー子機には電源スイッチを設けて必要に応じてON/OFFできるようにしました。

子機内部

➀ SB612A 焦電型赤外線(人感)センサー
秋月電子通商で扱っている安価なセンサーです。有線バージョンの猿検知器で示したものと同じものです。消費電力が非常に少なく電池駆動に適しています。
センサーに付いている3つの調整用ボリュームについて示します。

DARK_ADJ ・・・ 外乱光の影響を減らす調整用。初期状態(外乱光無し)で使用。
DELAY_TIME・・・ 反応出力信号(Low)の持続時間の調整用。初期状態(最低2s程度)で使用。 
SENS    ・・・ センサ感度の調整用。センサー子機の高さが約2m位でこのセンサ感度を
        最低~1/3程度のところで調整。
        ・高感度にすると太陽光の影響を受けやすくなる。
        ・最低感度にすると猿に反応しないことがある。

➁ TWE-Lite_DIP 2.4GHz帯 無線ユニット
普段はSLEEP状態で反応信号が入った時だけ親機に向けて信号を伝送します。消費電力(平均値)は非常に少なく電池駆動に適した無線ユニットで、価格的にも割と安価です。基板には28PDIP・IC用ソケットを使って取り付け、取り外しや交換をできるようにしています。
TWE-Lite_DIPにはいろいろな形態の物があります。ここではUFLコネクタタイプを使い同軸ケーブルでケースに外付けしたアンテナと接続しています。子機と親機が近い場合は内蔵アンテナタイプを利用すれば外付けアンテナが不要となります。
H29年11月時点、TWE-Lite_RED_DIP という高出力のものが発売されている事を知りました(私の情報アンテナが低い!)。
従来のTWE-Lite_BURE の出力が 2.5dBm(約1.8mW)に対して TWE-Lite_RED の出力は 9.14dBm(約8.2mW)ですので、+6.6dB(約4.4倍)の出力増となりより安定した通信が期待できます。

➂ 基板 自作
我が工房の基板加工機を使い紙エポキシ基板により自作しました。基板裏面に取り付けたピンソケットで SB612A と接続します。ケースに取り付けたモニタLEDや電池ボックスとはコネクタにより接続します。基板の幅を途中で縮めてあるのは、センサー SB612A のボリュームを調整しやすくするためです。

➃ アンテナ TWE-Lite専用SMAアンテナ
TWE-Lite は技適認証により使える外部アンテナも制限されています。メーカーよりSMA室内アンテナTWE-AN-D85、SMA防水型屋外アンテナTWE-AN-D114 などが販売されていますが、防水型の屋外アンテナは高価なため屋内アンテナを防水処理して使う事にしました。
屋内アンテナは雨にあたると折り曲げ部からSMAコネクタ部に水が浸入してしまいます。これを防ぐために次の写真のように熱収縮チューブと粘着テープで折り曲げ部を覆いました。少し曲げているのは、センサー子機をポールに固定した時にアンテナが地面に対して垂直になるようにするためです。

アンテナ防水対策

➄ アンテナ接続同軸ケーブル&コネクタ SMA - UFL 極細同軸ケーブル
アンテナ接続側のケース固定SMAコネクタとデバイス接続側のUFLコネクタが両端に付いた長さ100mmの極細同軸ケーブルです。ケーブルも技適認証の対象との事でメーカー型名 MW-C-UJ-10-1 です。SMAコネクタのケースへの固定では雨の侵入を防ぐように接着剤で固めます。

➅ 電池ボックス 単三乾電池2本
アルカリ単三乾電池2本により約3Vの電源を供給します。
焦電センサーSB612Aの電流は約54μA、TWE-LiteのSLEEP中の電流は約1.5μAで合計では約56μAとなります。センサーが反応して親機に送信しているときはTWE-Liteが約15mA、LEDが約1mAで合計では16mAです。センサーの反応時間は待機時間(SLEEP状態)に対して無視できるくらい短時間なので、消費電流の平均は待機時の電流に限りなく近いと思われます。
アルカリ単三乾電池の容量は1000mAh程度と言われていますので、それから電池の持ちを計算すると、
1000 * 1000 / 56 ≒ 17900時間 ≒ 740日 ≒ 2年
このように2年位は電池の交換なしに動作し続けることが期待できます。

➆ ケース 防水防塵プラケースBCAP091207G
最初の猿検知器子機に使ったものと同じボックスをここでも使いました。センサーの窓穴、基板固定用の穴などはある程度の精度が求められるのでフライス盤で加工しました。余り精度を求められないところはボール盤を使って目見当(めけんとう)で開けています。(安価で穴加工を行ってくれるところを探しています)

組み立てが完了したセンサー子機の内部の様子を示します。(スイッチ無しの子機の場合です)

組み立て完了

まとめ

焦電センサーSB612Aの反応はかなりシビアで、急に強い直射日光が付近を照らしたり、晴天時に強い風が吹くと誤反応が出やすくなります。周辺の草を刈ったり反射物は避けたりと結構苦労します。
今のところ園主さん方は、「猿の出方も大体わかっているので誤反応が少々あっても問題ない」と言ってくれていますが、警報音が周囲に鳴り響くので何とか改善したいところです。
親機に周囲の明るさを計るセンサーが付いているので、強い直射日光の時は警報音を止める事もできるようにはなっています。これで誤反応による騒音防止も少しは出来るのですが、あまり良い解決方法とは言えません。