モールス練習機能付き エレキー の キット開発 JA0INM

<誤った値のパーツの入ったキットを出荷してしまいました>
・令和6年2~3月に販売したキットの一部で、0.1μFのセラミックコンデンサとすべきところを誤って別の値のもので出荷していることが判明いたしました。ロータリーエンコーダーによる操作がうまく出来ない等の症状が現れます。思い当たるユーザー様はご連絡ください。無償修理とさせて頂きます。

<ファームウェアを Ver.2.0 にバージョンアップしました>
・縦振れ電鍵(ストレートキー)も接続できるようになりました。
・受信練習と送信練習が同時に行える模倣(倣い)練習モードを追加しました。

<キット等の販売、バージョンアップ
記事中の キット等の販売、バージョンアップ をご覧ください。
・ネット検索で当方の写真や説明を無断転用したサイトが現れます。ご注意ください。

<音量・音質を劇的に改善する簡単な方法を紹介>
・不要品活用で音が劇的に改善されます。
記事中の 音量・音質の改善について の項を是非ご覧下さい。

(左)トレーナー機能付きエレキーキット   (右)自作パドル(キットには含まれません)

ファームウェア Ver.2.0 より 縦振り電鍵(ストレートキー)が接続できるようになりました

<現在のバージョン>
・ファームウェア Ver.2.00(2024/4/14~)
・基板 Ver.2 (2024/2/1~)正弦波に近い音に改善

開発のいきさつ

地元のアマチュア無線クラブの活動で「エレキー製作」が話題に上りました。クラブ員の多くが定年退職および自営の年配者ですが、若いときにモールスを覚えようとして断念された方が結構います。「老化防止に役立つかも?」ということでエレキー製作をすることになり、キットの開発を私が担当することになりました。
かく言う私も高校時代にモールス交信をしていた経験はありますが、受信スピードを中々上げられなくて苦労していました。また、和文も今一歩自信が持てない状態で止まっていました。私自身が苦労したモールスの上達に、少しは役立つかもしれないとの思いで引き受けることにしました。2022年10月にはクラブ員の希望者に製作して頂き好評でした。それに気を良くしてサイトで公開し販売開始することにしました。

その後、現在までに多くのユーザー様にご助言等をいただきました。特に JM1IPX 氏には機能面の提案やバグのチェックなどを特に入念に行っていただきました。ファームウェアVer.2.0から「模倣(倣い)練習モード」が追加されましたが、これも氏の発案によるものです。大変素晴らしい練習モードをご提案いただき感謝の念に堪えません。
皆様のお陰で機能的にも信頼性においても自信の持てるバージョンに仕上がってきました。改めて各位に厚く御礼を申し上げます。
まだまだ改善の余地もあるかと思います。お使いいただき更なるご助言等をいただけると幸いです。

特徴等

1 パドル や 縦振り電鍵(ストレートキー)は別に用意してください。
2 無線機に接続してエレキー または ストレートキー として使えます。
3 符号はスピーカーでモニタでき、送信文字がディスプレイに表示されます。
4 モールス符号は音感で覚えることが大切だと言われています。このキットは送信練習や受信練習で音感によるトレーニングができることに重きを置きました
5 練習する符号を5~6文字の範囲に限定できます。
6 エレキーではアイアンビックのスクイーズ操作ができます。(モードA・Bに対応)
7 練習モードの符号の範囲を アマ用/プロ用 に切り替え可能にしました。(Ver.1.50 ~)
プロ用は「無線局運用規則 別表第一号 モールス符号」に従った練習ができます。
8 操作ツマミ等は極力少なくしました。
9 キットの製作用にはんだ付け初心者向けのテキストを用意しました。
10 制御は安価なPICマイコンで、差替え交換によるファームウェアのバージョンアップが可能です。
11 できるだけシンプルな作りとしました。ケースは透明の表パネルと裏パネルのみ。
12 電池ボックス(単三×3本)内蔵。
13 DC5Vのアダプターが使用可能(センター+、2.1mm標準)。負荷電流150mA max

機能説明 (動作モード)

1 送信モード(Elekey/StrKey)
・送信機に接続してエレキ―またはストレートキーとして使えます。
・エレキー動作ではダイヤルを回すと送出スピードが変えられます。
・サブメニューにより各種の設定変更が行えます。(取扱説明書 参照)

2 送信練習モード(EK Snd. Tr. / SK Snd. Tr.)
・LCDに文字が表示されるので、そのモールス符号をパドルまたはストレートキーで打ち込んで練習します。
・符号が正解ならば次の文字が表示されます。誤りなら(異なる音程で)正解を教えてくれるので、パドルから再度打ち込みます。
・他のモードと同様に、スピードや各種の設定変更が行えます。

3 模倣(倣い)練習モード(EK Imt. Tr. / SK Imt. Tr.)(Ver.2.0~)
・受信練習と送信練習を組み合わせたモードです。
・スピーカーからモールス符号が出力されるので、その後でパドルキーまたはストレートキーにより同じ符号を真似て打ち込みます。
・打ち込んだ符号が正解なら文字が表示されます。誤りなら(異なる音程で)正解を教えてくれるので、パドルから再度打ち込みます。
・他のモードと同様に、スピードや各種の設定変更が行えます。

4 受信練習モード(Rec. Tr.)
・スピーカーからモールス符号が順次出力され、その直後に正解文字がLCDに表示されます。
・他のモードと同様に、スピードや各種の設定変更が行えます。

取扱説明書

動作の詳しい説明はこちらをダウンロードしてご覧ください。

取扱説明書 ファームウェアVer.2.0x(PDF 820kByte) 2024/4/14~
取扱説明書 ファームウェアVer.1.5x(PDF 574kByte) 2023/12/14~
取扱説明書 ファームウェアVer.1.4x(PDF 508kByte) 2023/6/7~

 キット等の販売、バージョンアップ

品名「トレーナー機能付きエレキーキット」(金額は送料込みの額で表示)

パーツリストV2.1(pdf) パーツリストV2.1(xls)
(最新2024/2/23版をダウンロードしてください)

<セット1>
全てのパーツの入ったキット 6,500円
(直接販売の場合、ここから送金手数料程度を割引します)
トレーナー機能付きエレキーキット セット1<セット1 完成品>
セット1を製作してお送りいたします。製作費および送料増加で1500円を追加で戴きます(コンパクトorネコポス便 → 60サイズ便 となるため)。発送までに少し日数を頂く場合があります。

<セット2>
基板と電子パーツのキット(表裏パネル、電池BOX、ネジ類は除く) 5,000円
(直接販売はセット1同様に割引)
トレーナー機能付きエレキーキット セット1

<セット3>
基板とプログラム済みPICのみ 1,900円(直接販売のみ)

<ファームウェアのバージョンアップ>
Ver.2.00 へのバージョンアップPICマイコン 700円

郵送となるので配達に日を要することがあります。より早く届くことをお望みのときはネコポスでお送り致しますので追加料金250円を上乗せしてください。

<基板Ver.2へのバージョンアップ>
ユーザー様で基板Ver.2をご希望の方はご連絡ください。必要なパーツのみの販売が可能です。

送料・消費税込みです。
日本国外からのご注文には応じられません。

購入方法

1.メルカリより購入。
当方がメルカリに出品してあればそちらから購入できます。
2.当サイトより購入。
「購入希望」などのメッセージをご連絡フォームよりお送りいただければ、振込先等をご連絡いたします。
お支払いは、銀行振込の先払いでお願いいたします。パーツの在庫があれば入金確認後に直ぐお送りできますが、在庫が無いときは数日掛かります。

3.他のところには一切卸していませんのでご注意ください。

サポートについて

キットにはファームウェアのプログラムが入ったPICマイコンが同梱されます。販売後にファームウェアに重大なバグが見つかったときは新しいPICマイコンを無償でお送りしますので差し替えてください(PICマイコンはICソケットに差し込み)。
不具合や改善のご提案等に対しては私の能力の範囲内で対応させていただきます。
>>> ご質問やお問い合わせはご連絡フォームからお願いします。

キットの製作について

製作テキストV2.1(PDF 2.0MByte)2024/3/14版
(旧基板の 製作テキストV1.2(PDF 1.8MByte)2023/12/14版)
最新版をダウンロードしてください。
(過去に開かれた方はブラウザの「更新」または「ページの再読み込み」をクリック)

電子工作の初心者にも対応したテキストです。ダウンロードしたデータの利用に制限はありませんが改変は禁止します。ご指摘等ありましたらご連絡フォームからお知らせ下さい。

本機の練習モードと練習方法について

「A」=「・-」の様に目で覚えてしまうと、モールス符号を聞いたときに点と線のパターンに一度置き換えないと文字にならないので速い速度の聞き取りが難しくなります。特に送信練習からはじめるとこのような覚え方になりがちです(私自身がそうでした)。モールス符号を聞いたときに直接文字を思い浮かべるには、モールス符号を聞いて覚える音感練習が良いとされています。音感練習とは、まず符号を耳で聞いてその音の感じを覚えるようにします。この時、点と線のパターンを思い浮かべないように気を付けます。

「CQ」を音感を意識して聞くと、Cは淡泊な感じに、Qはねちっこい感じに聞こえませんか?。多分「そんな感じで覚えると良い」ということだと思います。

このキットの「受信練習モード」では、モールス符号がスピーカーから流れてからLCDに文字が表示されるので、点と線のパターンが目に入らなくて済み音感練習ができます。頭の中で点と線に置き換えてしまう癖のある方は、できるだけそうならないよう音のイメージに集中するようにします。

実は誰しも送信練習を先にやりたいものです。新バージョンでは新たに「模倣(倣い)練習モード」を追加しました。装置から流れた符号を真似てキーを打ち込むと、それが正しければ文字が表示されて次に進むことができます。符号の音感を耳とキーイングで確認した後でその文字を確認することができるので、点と線のパターンを意識しなくても済みます。

「送信練習モード」もLCDに文字が表示された後、誤って符号を打ち込むと正しい符号がスピーカーから流れるので、ここで音感による符号の確認ができます。符号がわからないときに決して点と線のパターンを思い出そうとせずに、適当な符号(短点1つなど)を打ち込んで装置に教えてもらうようにします。

音量・音質の改善について

特に旧基板の回路は音が小さくボリューム最大でもパネル面を自分の方に向けないと十分な音量になりません。(表と裏のパネルだけの筐体も影響しています)
<音を大きくする方法>
1.今回、JR7VQU 氏(ユーザー様)より貴重なアドバイスやいろいろと実験された結果のご提供を頂きました。そのおかげで簡単に音を大きくするお勧めの方法がほぼ確立できましたのでここにご紹介いたします。(氏は音響メーカーにお勤めだったそうです)
用意するもの 紙コップ、ガラスコップ、ガラスビンなど

紙コップ ホーン

ガラス瓶 ホーン 右の瓶サイズはお勧め(大変聞きやすい)

紙コップやビンをスピーカーの上に逆さに被せ、音が程よく共鳴するように位置を少し調整します。今まで小さくて聞こえにくかった音が顕著に改善されます。共鳴効果で矩形波音も改善されて正弦波音になります。(共鳴し過ぎるとかえって聞きにくくなるかも・・・)
注意点は、コップやビンがパネル面のネジなどで浮かないよう、面にぴったりと合わせることです。
是非試してみては如何でしょうか。

★参考 モールスを聞く音程は人によって少し異なりますが600Hzが標準のようです。上で紹介した方法ではコップなどの空洞がその周波数に共鳴(共振)する状態を作ります。
(右下の小瓶は共鳴周波数から少し外れているようですが、結構聞きやすいです)

★追伸 氏からは次のようなご報告もいただいています。
「和文25WPMの聞き取り練習をした結果、欧文の聞き取りも容易になり、現在は欧文20WPMの速度でQSO出来るまでになりました」
皆さん、是非ご参考にされては如何でしょうか。

2.旧基板(Ver.1x)でスピーカーから出る音を大きくしたいときは、(R12)4.7kΩを2.2kΩ~1kΩなどに変更する方法があります。音が矩形波音に近くなりますが、先の共鳴体を使えば気になりません。
抵抗の交換は慣れない方には難しいので、別の4.7kΩ,2.2kΩなどを並列にハンダ付けしても良いです。また、Q3 2SD571をダーリントントランジスタに変更する方法もあります。
(ユーザー様には変更用のパーツを無償でお送りしますのでご希望の方はご連絡ください)

<新基板(V2)について>
音出力回路を改善しました。(ファームウェアのバージョンとは関係ありません)
スピーカー駆動電圧が約倍になり、より正弦波に近い音になりました。

回路設計・基板設計

KiCADで開発。

新基板V2 回路図

新基板V2 レイアウト

旧基板V1 回路図

ファームウェアの開発履歴

Ver.1.0 (2022/10/12)
・基本機能完成。エレキーモードA/Bに対応。
・地域の無線クラブにて製作会開催。
Ver.1.1 (2022/10/30)
・エレキーモードAの動作修正(スクイズ操作)。
Ver.1.2 (2023/ 2/18)
・全体的な細かいバグの修正。
・ネット販売開始。
Ver.1.3 (2023/ 3/17)
・サブメニューおよびLCD表示の項目順を調整。
・メニュー選択をよりわかりやすくなるように変更。
・送信モード文字表示の語間(でスペース挿入)の判定を調整可に。
・特殊符号(BT AR VA HH ホレ ラタ)を外字でLCD表示可に。
・「取扱説明書」通りになっていないバグを修正。
Ver.1.4 (2023/ 6/ 7)
・Sendモードの表現をElekeyモードに変更。
・電源ON時に、前回終了時のモードが最初に選択されるように変更。
・サブメニューの「モドル」を「モドル/Start」に変更。
Ver.1.5 (2023/12/12)
・PICマイコンを PIC16F18346-IP に変更。
・符号の範囲をアマ/プロ 切り替え可能に。
・全体的なコードの見直し。
Ver.2.0 (2024/4/12)
・縦振り電鍵が接続できるように。
・模倣(倣い)練習モードを追加。
・メニュー等の用語を全般に見直し変更。

キットの加工風景

いままでパネル加工を手作りで行ってきました。
今回、格安でCNC加工してくれるところがあり、穴開けと切り出しを行ってもらっています。
寸法が正確で面が大変きれいになりました。

ミニフライスによるパネルの手作り加工風景