虫型ロボット教室キット製作

教室風景「虫型6足ロボットをつくろう」のテーマで親子教室の講座を受け持ち、年1回手作りキットを持参して行っています。子供は小学校4年生くらいからとお願いしますが、実際には2年生位の子も来ます。
主な部品は厚さ3~2mmの塩ビ板を使って作ります。アクリル板は床に落としただけで割れてしまうので塩ビ板を使うことにしています。色は青、緑、オレンジ、黄などの鮮やかな色を使います。

<虫型6足ロボットの完成写真>
親子教室ではロボットを組み立ててこのように完成させます。2つのスイッチの操作で、前へ・後へ・右へ・左へ の動きができます。
家に持ち帰ってから羽や頭を自分で作って楽しんでもらえば本望です。
虫型ロボット

ここでは手作りキットの部品づくりなど、準備の様子を紹介します。

手順

  1. 材料手配
  2. 塩ビ板の加工 本体、足、コントローラ など
  3. クランクの加工 モーターの回転運動を足の往復運動に変えるための部品
  4. ギヤボックス組立 教室の時間が限られるので大部分を組み立てておきます
  5. 電気系の配線 コントローラーのスイッチ、モーター、電池ボックス の配線をあらかじめ作っていきます
  6. キット組  パーツをそろえてキットにします。
  7. 工具類準備 講師側で持参する工具類
  8. テキスト作り プリントとプレゼン用のテキスト(細かく説明するより図を見てもらった方が早い)

作業内容

1.材料手配

  • ギヤボックス タミヤ ダブルギヤボックス(左右独立4速タイプ)
  • スイッチ ミヤマ MS-500J 6Pモーメンタリー
  • 電池ボックス 単三×2本用
  • カラー塩ビ板 t3mm 600×450mm(本体・足用 青、緑、オレンジなど)
  • カラー塩ビ版 t2mm 600×450mm(リンクアーム用 黄など)
  • カラー塩ビ版 t3mm 600×450mm(コントローラ用 白)
  • ネジ類 M3 ビス各種 ナット、ワッシャー類、ナイロンナット、イモネジ
  • 電線 リボン線 12×0.12mm=0.136m㎡ 6色
  • アルミ丸棒 φ14mm(クランク用)
  • その他

(材料代合計 1台分 約1,800円程度 加工賃は0円)

2.塩ビ版の加工
あらかじめ塩ビ板の不要部分をプラカッターで切断しておきます。塩ビ板の両面からプラカッターで切り込みを入れるときれいに切れ(割れ)ます。
プラ板切断

パソコンのCADで型紙の図を作って印刷し、切断した塩ビ版に貼り付けてけがきや穴開けをしていきます。けがきは型紙を外した後の加工に必要な印を付ける作業で、けがき針の先端で押して行います。
コントロ材料けがき

穴開けサイズは、M3のねじが通る穴φ3~3.1mm、コントローラーのスイッチ用穴φ6mmとφ2mmなどです。必要に応じて穴開け後バリ取りをします。
穴開け

プラカッターで切断した後、サンドペーパーで塩ビ板の周囲のバリ取りをします。
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プラ板折曲げヒーター(アクリルヒーターとも言う)を使って折り曲げます。塩ビ板はほぼ水平になるように台で支えて置きます。ヒーターに塩ビ板を均一に接触させるために適当な重りも使います。ヒーター温度が100℃程度となるようパワーコントローラーなどで調整します。塩ビ板の上面の温度が約70℃程度に暖まると曲がります。温度が高すぎると塩ビ板が溶けてヒーターに付くので注意が必要です。下の写真のヒーターの有効加熱長さは350mm程度ですので、本体の2台分を一度に曲げています。
シャシ折り曲げ1

曲がったら角度を保って数分間冷やします。
シャシ折り曲げ2

本体2台分の曲げ加工終了。

足の曲げ加工終了。角度105°程度の木型を作って曲げ角度を揃えました。写真は1枚当り6~7本分ですが大きな材料があればヒーターの有効長さいっぱいを使います。

バンドソーやプラカッターで一つづつに切断します。曲げる前のけがき作業であらかじめ切断線を引いておく必要があります。
<足の切断>
足の切断
足の切断完了
<コントローラーの切断>
コントロ切断完了

最後に切断面のバリや角をやすりやサンドペーパーで取って完成です。サンドペーパーは120番程度を使用。
<リンクアームのバリ取り>
アームのバリ取り

3.クランクの加工と準備
昔頂いたアルミφ14mmの工業用部品の在庫があるので、1カ所の穴開け・ネジ立てだけでできました。在庫が無くなったら旋盤等で作ります。
<M3のネジ立て>雌ねじを開けます
クランクネジ立て
<ネジの組み込み>しっかりと締め付けておきます
ネジの組み込み

4.ギヤボックスの組立
タミヤのダブルギヤボックス(左右独立4速タイプ)のキットをCタイプ(ギヤ比114.7:1)で組み立てます。人数が多いと結構大変ですので講座の主催者の方々に手伝っていただきました。モーターはここでは外しておきます。
ギヤボックス組立て

5.電気系の配線
① スイッチにリボン線をはんだ付け
あらかじめリボン線の割り当てを決めます。使ったリボン線は20芯で色は10色ですので、3通りの割り当てを決めました。これは1つ目の割り当てです。
茶:電池の+側  黒:電池の-側
赤:右モーターの+側  橙:右モーターの-側
黄:左モーターの+側  緑:左モーターの-側

リボン線は途中むきをし、折り返して予備のはんだ付けをしておきます。
リボン線途中剥き
リボン線予備はんだ付け

スイッチを必要な間隔をとって(スイッチのワッシャの爪の向きに注意して)バイスに固定。全ての端子には予備のはんだ付けをしておきます。(はんだは少し多めに)
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スイッチ予備はんだ付け

<リボン線の折り返し部をはんだ付け>
予備はんだ付けがしてあるので、はんだごてで溶かすだけできれいに付きます。スイッチの端子の方から加熱するとよいです。
スイッチはんだ付け1

<リボン線の先端のはんだ付け>
被覆をむいて予備はんだ付けをしてからスイッチへ付けます。モーター線の赤ー橙および黄-緑は先端を2.5cm程度の長さに縮めています。はんだ付け作業中は左右が逆になっています。
スイッチはんだ付け2

スイッチはんだ付け3

② モーターと電池ボックスのはんだ付け
モーターの軸にはピニオンギヤを取り付けておきます。モーター端子へ予備はんだ付けをします。
電池ボックスの線は必要な長さに切って先端を予備はんだ付けし、ばらけないように熱収縮チューブで締めておきます。写真の黒のチューブは、+-の線をはんだ付け後に絶縁するための熱収縮チューブです。
リボン線の先端をむいて予備はんだ付けしておきます。(リボン線の色はスイッチのはんだ付けの所と違っています。すみません)
モーターはんだ付け

<はんだ付け>
写真は電池ボックスの線を付けているところ(空中配線です)
リボン8モーター側ハンダ3

<はんだ付け完了>
リボン線の色は①のスイッチのはんだ付けの所と同じです。モーターの+ーの端子は右と左で違います。
リボン1

<教室で完成した後の電気系の様子>
完成裏側.jpg

以上で、キット作りの紹介を終わります。

塩ビ板の加工などはレーザー加工機があれば楽に出来ます。いつまで続けられるか分かりませんが、自分と向き合ってこつこつと時間を掛けて作ることもたまには良いものです。