炭焼き枠(炭化器)を自作し竹炭作り

竹林駆除した竹を戴き

近所のお宅で竹林を駆除するために竹を全て切ったのですが片付けに苦労されていました。
折しも菌ちゃん先生の教えのように竹炭を作って畝に入れたいと考えていたところでしたので、有り難く戴くことにしました。竹は軽トラで運搬できるよう約2mの長さに切り揃えられていたので割と楽に積載できました。軽トラの荷台をコンパネで囲い、数日掛けて8杯程運びました(それでも残っていましたが後は遠慮しました)。なお、先端の細いところはチッパーで砕きチップとしても戴いてきました。

2022年12月 ご近所で竹林を伐採したので竹を戴いてきました

制作した炭焼き枠(炭化器)で炭焼き

割と安く作れた炭焼き枠(炭化器)を使って焼いています。

雨天もしくは雨天の翌日の午前中に1回ずつ焼きます。晴天で乾燥している時、また午後は風が強くなるので止めています。消防署への連絡も欠かせません。

最初にクランプで鉄板の枠を組み立て連結します。燃焼途中で外れると困るのでしっかりと締めておきます(後で外れないようでも困りますが)。また、土と接する部分はできるだけ隙間が出来ないように土を詰めておきます。
次に、枠の中央で焚き火をします。私の家では前シーズンの剪定の枝(細いものから太いものまで)を冬場の風呂炊きに使っているので、それを使って焚き火します。
竹を投入していきます。炎ができるだけ枠全体に広がるように考えて入れていきます。
竹の破裂する音が「パンパン」と耳をつんざくほど強烈です。時々竹の破片や中の熾火が飛んできます。節と節の間にドリルで穴を開ければ破裂しませんがそんな余裕はありません。気を付けながら投入していきます。

自作炭化器で竹炭を焼く

制作した炭焼き枠(炭化器)を組み立て、約2m竹を両側から突っ込んで燃焼

奥に見えるのは消毒用のSS(スピードスプレヤー)で、毎回約300リットル超の水を運び、消毒ホースを使って熾火を消火しています。

熾火が枠一杯になったら終了。奥に見える山は今までに焼いたもの。

熾火(おき火)の消火はまずクランプを外すところから始めます。SSのホースでクランプと周辺に水を掛けて冷ましてから外します。鉄板枠は耳部を水で冷ましてから掴んでどかしていきます。私は綿の薄い手袋とテムレスなどのゴム手袋を二重にして作業をしています。
枠が全て外れたら熾火を草カキなどで少しずつ広げながら入念に水を掛けて消火していきます。消火後1時間程してから再度消火状態を確認します。燻(くすぶ)っているのに放置すると折角の炭が全て灰になってしまいます。
1度に焼ける量は軽トラ(コンパネ囲い)1回で運んだ分位です。今回戴いた竹を全て焼くには8回位、2ヶ月は掛かると思います。

炭焼き枠(炭化器)作りについて

菌ちゃんの動画でも紹介されている無煙炭化器(モキ製)はステンレス製で大変良いのですが残念ながら大変高価です。そこで農文協の季刊地域の記事を参考にして鉄板製の炭化器を作ることにしました。

自作炭化器 組立図

炭焼き枠(炭化器)の組み立て図

鉄材屋さんに頼んで厚さ3.2mmの鉄板1200mm×400mm(120cm×40cm) 6枚を切り出して、内4枚は両端を耳として70mm(7cm)折り曲げてもらいました。使うときは耳の部分を鉄製のクランプで締め付けて組み立てます。
参考にした記事は「季刊地域2021夏46号」P115「荒れた竹林、炭にして大地に還す」(鉄板で囲うだけで焼ける)です。鉄板1枚のサイズは1800mm×450mm(180cm×45cm)で同じように6枚で囲んでいます。大勢の人の活動で使うためこのサイズでも良いのでしょうが、私一人が運んで組み立てるには重すぎるので小さめのサイズにしました。鉄板1枚あたりの重さはこれでも約15kgです。
ちなみに鉄材屋さんで扱っている鉄板のサイズに1200mm×2400mmがあったので無駄が出ないように長さ1200mmとしました。

評価

1.費用
鉄材屋さんの支払いとクランプ6個で24,000円程が掛かりましたが、モキ製M150(最大サイズ)が15万円程と比べると1/6です。焼ける量を4倍位と見ると1/20以下の費用です。モキ製がステンレスなのに対して私のものは鉄製で錆びやすいのですが、私がいつまで出来るかを考えれば特に問題はありません。保管に気を付ければ10年は問題なく使えると思っています。

2.炭焼きの効率
毎年、剪定枝を平場で焼却して炭にしてきましたが燃やした枝に対して出来た炭はわずかでした。この炭化器では燃やした量に対して結構な割合の炭が残ります。効率はかなり高いと思います。鉄板の壁が裾からの酸素供給を妨げるため焼けた熾火は灰にはなりません。

3.燃焼・煙
モキの炭化器の縁は斜めになっていて、熱が炎の部分に反射して高温になり完全燃焼するので煙が出にくいとのことです。この炭化器はその効果はありませんが、特に問題なく燃焼します。燃焼状態が悪いと煙は出ますが、状態が良ければほとんど煙は出ません。
はじめは枠の中央で焚き火をしてから竹を投入していきますが、枠の全体に火が回るように考えながら竹を投入していきます。うまく燃やせば焼却効率は高いと思います。私の場合、約3時間で枠の中が炭で満たされます。(軽トラ荷台コンパネ囲い1杯分位の竹が燃やせる)
鉄板の壁があるので、平場での燃焼と比べて火に近づいてもそれ程熱くはありません。竹を投入するのも楽です。最後に枠を外していく作業もそれ程熱くはありません。(帽子の庇で熾火の熱から顔を守る)

4.扱い
鉄板の枠は使用後その場に冷却放置し、焼くときにクランプで組み立てています。1枚15kgですので軽くはありませんがそれ程の重労働ではありません。
焼却シーズンが終わって片付けるのも70歳となった私でも普通の作業として出来ます。鉄製で錆びやすいので乾燥した所に格納します。心配なら錆止めの油を吹き付けておけば良いと思います。

炭の活用について

現在地球の温暖化が叫ばれていますが、その原因の一つに二酸化炭素の排出があります。火力発電所、工場、家庭などで石油や石炭を燃やすと二酸化炭素が排出されます。石油や石炭は数億年前の地球の生物の死骸が貯まってできたもので、現代に至るまでずっと地球の内部に蓄積されてきました。現代の科学技術によって人間の生活が一変し、蓄積されていた石油や石炭をものすごい早さで消費し、その結果たくさんの二酸化炭素が空気中に排出され続けています。
空気中の二酸化炭素が増えると温室効果により太陽の熱が蓄積されて地球の気温が上昇します。その結果、海水温の上昇や異常気象が起き、海面の上昇だけでなく人間を含めた生物の生息環境の悪化を招きます。
植物は毎年成長を続けますが、それは太陽光のエネルギーを使って空気中の二酸化炭素を形を変えて体内に蓄積することで成長しているわけです。植物の体は大部分が炭素の化合物でできています。植物を完全に燃やすと再び二酸化炭素となって空気中に戻ります。現代人が石油や石炭を大量に消費しているということは、数億年前に生物が長い時間を掛けて固定した二酸化炭素を急速に放出していることになります。
竹や木などを蒸し焼きにすると炭ができますがその90%以上は炭素です。炭のままにしておけば二酸化炭素に戻さなくて済みます。また、炭は自然の状態では分解されず畑に入れても半永久的に固定されると言われています。すなわち二酸化炭素を地中に埋設(固定)したことになります。重さが1kgの炭素は3.67kgの二酸化炭素の量に相当します。300kgの炭を作れば約1トンの二酸化炭素を固定したことになります(炭の炭素含有量を91%として)。
炭は小さい穴が無数に空いている多孔質のため、畑の中では微生物の住処となり活動が活発になるため作物の生育に大変役立ちます。また肥料成分の蓄積効果も期待できるといいます。炭素循環農法や菌ちゃん農法は植物の死骸(炭素化合物)を直接畑に入れて微生物の餌にすることで作物を育てる農法ですが、微生物の住処となる炭を入れることを推奨しています。
炭で二酸化炭素を固定し作物の生育に役立たせることは、地球の温暖化を防ぎ肥料となる鉱物資源の消費を減らすことになります。更に、化学肥料によるひ弱な作物ではなく自然豊かな健康的な作物を作ることにつながります。まさに一石二鳥、一石三鳥の効果が期待されることになります。
炭素循環農法や菌ちゃん農法は現代人が無くしたこんな壮大な夢(理想)を追求する農法でもあります。
夢を追い求めて炭を焼く日々!。(最高の老後です)

欽ちゃん農法の畝に竹炭を入れる

菌ちゃん農法の新しい畝づくりに竹炭を投入。今までより沢山使えます。