栗を生産していると割れ栗や虫栗などの販売に適さない栗が沢山できてしまいます。無人販売にも格安で出していますが、大きい栗などは食べられる部分も多く本当に勿体なく感じられます。前年(2021年)まではチョットでも虫の気配があれば大きい栗でも多くを焼却処分にしていました。
剥き栗を熟成保存してみた
今年は毎日の選別作業中に傷みや虫などの疑いのある大きい(勿体ない)栗があったら、その場で鬼皮と渋皮を剥いて悪い部分を取り除き、そのまま恒温高湿冷蔵庫で熟成保存してみることにしました。
一般に栗の熟成保存は鬼皮を剥かずに行いますが、剥き栗を熟成保存したらどうなるか興味があります。
◆恒温高湿冷蔵庫で熟成保存
・温度1℃ 湿度85%RH以上
・ビニル袋に入れたり新聞紙で包むなどはせずに、栗用の網袋に入れた状態で。
・品種:美玖里 入庫:10月10日 出庫:11月5日
◆出庫時(11/5)の様子
表面は果肉や取り残しの渋皮が乾燥・変色しています。しかし、少し切り欠いてみると中は大変綺麗です。傷みや乾燥し過ぎの様子はありません。切ったかけらをそのまま食べてみると「甘い!」。表面の変色している部分も一緒に食べたのですが「カビなどの変な味は感じません」。と言うわけで問題なく熟成保存できていることがわかりました。
写真に見るように表面がカビのようにも見えます(熟成したチーズのよう)。心配な場合は使う前に洗うか表面を削り落とせばよいと思います。
熟成した剥き栗で栗ご飯を炊く
出庫直後、軽く洗ってから栗ご飯を炊きました(妻に炊いてもらいました)。塩を少し振って炊いたようです。砂糖は入れません。
美玖里は特に固い栗なので、そのまま栗ご飯に炊くと栗だけまだ固いことがあります。約1ヶ月熟成したもので違いが出るのでしょうか。
実際に食べた感じでは、まだ少し固い感じですがまあ許される範囲です。ご飯に炊いても栗はかなり甘くおいしいです。
熟成させた剥き栗を冷凍保存
栗のお客様から「冷凍保存すると楽に長持ちさせられる」とのレポートを頂いていました。冷凍でも熟成が進むか興味があったので試してみましたが、さすがにそれは無理なようでした。
今回は熟成させた剥き栗をジップロックに入れて冷凍保存してみることにしました。そのうちに取り出して栗ご飯に炊いてもらおうと思っています。
ここで一つ興味があるのは、美玖里を冷凍することで細胞が壊れてもう少し柔らかく炊けるようになるかどうかです。
その結果はいずれまた、ここへ書き加えたいと思います。
参考までに
収穫直後の栗は多くの水分を含んでいます。渋皮も水分を含んでいるので割と簡単にこそぎ落とすことができます。乾燥した栗とは大違いです。
今年は跳ね出し栗を剥く作業を「妻が嫌がる栗ご飯の準備」と思ってやっていました。剝く数にもよりますが、毎日少しくらいならそれ程は苦になりません。「この怪しい栗の中はどうなっているのか?」と鬼皮を剥き、そのついでに渋皮も剥きます。
私は渋皮を完全にきれいには落としません(渋皮をきれいに剥くのは相当にしんどいです)。今年はこのような剥き栗をいろいろな熟成状態で何度か栗ご飯に炊いてもらって食べていますが、渋皮が少しくらい残っている方が香ばしくて美味しいと思います。なお、栗の甘みを感じられるには最低でも1週間の熟成は必要なようです。
ちなみに当地のあるスーパーでは渋皮がかなり残っているものを「剥き栗」と称して売っていました。驚きと同時に「それも有り!」と思って見入ってしまいました。(香ばしいだけでなく、健康にも良い?)