栗の害虫と病気(我が栗園)

私が毎年悩まされている栗の害虫や病気について紹介します。

栗の害虫と防除 (←こちらに少し詳しくまとめ直しました)

栗の害虫

モモノゴマダラノメイガ幼虫
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モモノゴマダラノメイガ幼虫

栗のイガの外から幼虫が食い込んでいきますので、栗にも虫が出入りできる穴が開いているので分かります。栗を水に漬けると虫が慌てて出てきます。名前からも分かるように、どこからか飛んで来て産卵するので毎年防除が欠かせません。
H27年は天気も良かったため防除に成功し被害は少なかったです。
H28年は防除に失敗したので、昨年より被害が多く出ています。

◆ H28年では10月に入ってからは、栗に空いた穴の中に幼虫の姿を見なくなりました。幼虫は既に巣立ったようです。9月末の事ですが、虫等にやられた廃棄栗を作業場のコンテナにまとめてあったのですが、近くに置いてあった布の中に沢山の幼虫が食い込んで巣くっていました。色も変わってさなぎになる直前のように見えました。
生態をもっと調べて来年の防除の時期に生かしたいと思います。

クリシギゾウムシ幼虫

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クリシギゾウムシ幼虫

栗がまだ未熟のうちにイガの外から栗の中へ、またはイガが割れた後の栗の実へ直接産卵されます。よく見ると栗の表面に小さい穴が空いているのが分かります。栗を割ってみると上の写真のように幼虫が育っています。幼虫が成長すると栗から出てきます。
栗畑を借りて始めた当初はこの虫の害が多く出ていました。H27年からは少なくなりました。防除が効いて越冬する成虫が減ったものと思われます。なお、越冬する虫や病気を減らすためには、イガや被害果をそのまま畑に放置せずに集めて焼却することは防除の基本のようです。

クリシギゾウムシ成虫

H29年にクリシギゾウムシと思われる成虫を見つけました。

クリシギゾウムシと思われる。今正に実に産卵しようとしている。

上の写真は、昨年まで放置されていて今年私が借りた国見の園で発見したもの。国見の様子を写真に撮った後で気が付きました。栗の実に直接産卵しようとしています。9月中旬の写真

クリシギゾウムシと思われる。美玖里の木で見つけた。

上の写真は、ほとんど被害が無いと思っていた美玖里の木で見つけたもの。10月はじめの美玖里の収穫真っ最中の時期。
これまでクリシギゾウムシはまだイガが若い内にイガの外から産卵するのだと思ってきましたが、今回イガが開いた後の栗の実に直接産卵することもあるということがわかりました。

クリミガ幼虫

産卵の穴?これは多分クリシギゾウムシの穴

2020年では中晩成品種(銀寄など)の大木でクリミガの被害果が大変多くみられました。昨年もあったとは思いますが気が付きませんでした。
被害果は栗の座と皮の境目に小さな産卵の穴が開いていますが、よく見ないと見落としてしまいます。収穫の翌日に穴の周りに糞くずが出ていて、改めて気が付くものもあります。
10月の2週目に入った頃でしたが、産卵直後で幼虫が動き出したところで気が付きました。まだ幼虫が小さくて十分に観察できていません。今後改めて観察して投稿していきたいと思います。

栗の病気

実炭疽病

収穫した栗の表面が黒ずんでいるのでわかります。蒸して割ってみると腐敗臭がして食べても大変不味いです。
当然、出荷には適しません。加工で栗あんにされたとき全体が臭くなってしまうそうです。
H28年の防除に入れてみましたが、完全に駆逐は出来ませんでした。

溶ける病気(病名不明)

実やイガが腐敗して溶けていく病気です。H28年は伊吹の1本が酷くやられました。次の写真ではイガの内側が溶けている感じが分かります。実の写真は取り損ねました。
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実は底部が溶けてネバネバしています。私はネバネバを洗って取ってから蒸して食べてみましたが、実が苦くなっていました。当然、出荷には適しません。

実が発酵する病気(実炭疽病?)

実炭疽病と同様の黒ずんだものですが、実が柔らかくなったものは特有の発酵臭がします。先に書いた実炭疽病の腐敗臭とは違う感じです。黒ずみの程度があまり酷くない物を焼いて食べてみましたが、発酵臭がして大変不味いです。主にH28年のポロタンに表れました。
H29年は新たに国見の畑が増えました。ネットで調べてみると国見は「実が非常に大きい」のは良いのですが「甘みが少ない事」「腐敗しやすい事」が欠点のようです。実際の収穫では、暗くジメジメした場所に落ちて数日経過した実には、特有の発酵臭のするものが多くありました。これが「腐敗しやすい」ということなのかと感じています。

病気を出さない環境

栗は落下した後、風通しの悪いジメジメした場所に放置されると腐敗や発酵が進むと思われます。H28年の「溶ける病気」が発生した木の状態は、枝が多すぎて木の根元まで暗くジメジメしていました。H29年は剪定に気を付け、枝を多目に切って枝間を開け光が中まで(樹元まで)届くようにしました。その結果か否かは不明ですが、H29年はイガの内側が「溶ける病気」はほとんど見ませんでした。
発芽するためには適度な湿気が必要でしょうが、その程度を越えると病気になりやすくなるのだと思われます。植物素人の私にとっては勉強の連続です。