炭素循環農法 その4 秋まき春どり野菜 2021~22

炭素循環農法の平畝部で2021~22年に掛けて秋まき春どり野菜を作ってみました。野菜作り初心者の私にとっても初めての経験です。
この冬は久々に寒く12月末から2月初めにかけて氷点下10℃近い日が繰り返し来ました。また10cm程の積雪も数回ありました。小さいキャベツたちが寒い冬を乗り越えられるか心配でした。豪雪地帯ならば積もった雪の(0℃程度で暖かい)中での越冬となるのですが、数cmの雪が半溶けの状態で氷点下10℃近くに冷される畑ですから非常に過酷な環境です。
また、降雪により畝が湿って糸状菌類が打撃を受けるのではないかとの心配もありました。

2021~22年 秋まき春どり野菜 作付けの様子

キャベツ①②

品種:市販の金系

・未分解のチップが残っている畝の表面数cm程を軽く耕して土と攪拌
・苗植え2021/10/27。(苗の根がしっかり土で覆われるように)
・植えた直後にチップを数cm程追加
・1月に防虫ネットにて冬囲い(心配で手を掛けてしまいました)

2022/1/4キャベツ苗 この後防虫ネットで冬囲い

2022/5/24 やっと大きくなってきたので順次収穫 手前の野ビルは元気が良い

枯れてしまった苗もありましたが7割程の苗が寒い冬を乗り切りました(大きい苗ほど弱かった)。上の写真に見るように暖かくなって全体の4割程が結球に至りました。全体に小さ目でしたが5~6月には収穫することができました。残りは成長不良、未結球、塔立ち、虫食いなどで収穫には至りませんでした。
まだ1年目の畝で炭素循環ができていないことに加えて、降雪による水分過多や寒さで糸状菌の働きが悪く、養分不足だったことが想像できます。
味は苦みもありそれ程おいしいとは言えません。虫食いも出たことから.畝がまだ腐敗に傾いていることも想像できます。

タマネギ

品種:市販のネオアース

・未分解のチップが残っている畝の表面数cm程を軽く耕して土と攪拌
・苗植え2021/10/26。(苗の根がしっかり土で覆われるように)
・直後にチップを数cm程追加。
・冬囲いは一切無し。

2022/5/15 暖かくなっても中々大きくならない

2022/6/8 葉が倒伏し収穫時期

成長はゆっくりで5月になっても小さいまま。やむを得ず小さいながらも順次収穫し食卓へ。
葉の大部分が倒伏し収穫期となってもまるで小さい。玉サイズは大きくても直径5~6cm程度(写真無し)。
キャベツと同様に、まだ1年目の畝で炭素循環ができていないことに加えて、降雪による水分過多や寒さで糸状菌の働きが悪く、養分不足だったことが想像できます。
苗を植えて1ヶ月ほどの頃にモグラが苗を押し上げるようにして畝を直線的に進んでいきました。まだまだ腐敗型の畑であることを思い知らされました。

エンドウ

品種:秋どり絹さやエンドウ

・チップを数cm追加。畝の表面数cm程を軽く耕して土と攪拌
・2021/11/14 種まき 
・寒さ対策として畝の表面をワラで覆う。
・2022/5/12 株の列を両側から挟むように黒マルチ被せ

発芽時期は忘れましたが冬の間は遅々として成長が進みませんでした。3月頃になって順調に生育を開始しました。キャベツやタマネギの様子からもっと糸状菌を活発化させたいと考え、畝に急遽マルチを被せることにしました。エンドウは垂直のネットに絡みついているのでマルチに穴を開けて被せることは出来ません。また、マルチを株のラインで切れば風で簡単にめくれてしまいます。そこで下図のように工夫してみました。なお、2本の鉄パイプが適度の開きになるように所々ロックタイで締めてあります。

2022/5/12 後マルチの施工

2022/5/15 後マルチの施工直後の様子

6/25 収穫中

7/9 収穫終盤

マルチがあるため畝の中は株元以外は雨が降っても濡れません。その成果か順調に成長し、6~7月に掛けておいしいエンドウを収穫することができました。
この畝は2021年の夏場に葉野菜類や人参などを蒔いてきましたが、まともなものがほとんど出来なかった所です。豆類は根粒菌の働きで窒素が供給されるために、畑が悪くても順調に生育する可能性もありますが、前年に別の畝でエンドウを作ったときに今回ほどは成長しなかったことを考えれば、マルチにより糸状菌が活発化した可能性が高いと思われます。

まとめ

① 平畝の炭素循環農法では、秋まき春どり野菜は難易度がかなり高いことが分かりました。菌ちゃん先生のYouTubeのお話では、気温の低い冬は糸状菌の活動が大変鈍いとのことです。であれば当然のこととして野菜への養分の供給も少ないということになります。1年目の畑で有用菌類がまだまだ少なく土が出来ていない状態ではとても無理ということでしょう。
② この1年間ネットで紹介されている炭素循環農法のやり方を実践してきましたが、発酵型の畑が簡単にはできないことを痛感しました。今後は、新たに勉強している菌ちゃん農法のやり方を取り入れて、畝に炭素資材を載せてその上から軽く土を被せ、マルチをして多雨から糸状菌を守るようにしたいと考えています。
③ 菌ちゃんの炭素循環農法では数十cmの高さの畝を作ります。これは水が浸かりやすい平らな畑で作ることを前提にしているためです。この畑は全体が斜面でこんもり湾曲した形をしているので、大雨も直ぐに流れ下るため水が浸かることはありません。従ってここはスタート時の平畝(高さ20cm程度まで)のままで進めていくつもりでいます。