炭素循環農法 と 菌ちゃん農法
炭素循環農法はブラジル在住の林 幸美氏が現地で行われている自然農法の素晴らしさを伝えるために名付けられた農法です。2000年頃から母国である日本に度々訪れて普及活動をして来られたようです。日本向けのホームページもあります。残念なことに理論的(思想的)な解説は個人的には少々無理を感じます。
しかし、紹介されている炭素循環農法の実績には大きな魅力と将来性を感じます。簡単に言えば「植物残渣や木くず(木材チップ)などを畑に入れる事によりキノコ菌などの微生物の活動を豊かにし、それらの力により病気や害虫に強い健康で美味しい野菜を育てることができ、化学肥料も農薬も要らなくなる」という農法です。現在の農業が置かれている現状を見たとき「十分に信ずるに値するものがある」と思います。
この魅力に惹かれて多くの方々が実践されているようですが、成功させるには困難もあるようです。特に次の二つの課題の解決が成否を決めるらしいのです。
- 在来農法で耕作し続けてきた畑には既に沢山の化学肥料や堆肥(腐植物)が残留しているため、目的とする微生物の活動(畑の発酵)が進み難いこと。
- 日本は雨が多い土地柄のため、折角動き出したキノコ菌などの活動も雨の度に中断(死滅)してしまい良い循環(発酵)が進み難いこと。近年、異常な多雨が日本を襲うようになっており、その度に畑が一気に腐敗に傾いてしまうようです。
なお、炭素循環農法では、野菜にとって良い(必要な)菌類が活動することを「発酵」、悪い(不要な)菌類が活動することを「腐敗」と言っています。畑の「発酵」を維持できるようになるには数年は掛かると言われています。
この問題をできるだけ簡単に解決する方法を編み出しているのが「菌ちゃん先生」こと「吉田俊道氏」です。化学肥料や農薬を一切使わず雑草だけで美味しい野菜をつくる方法がYouTubu動画などで詳しく紹介されています(ネットやYouTubuで「菌ちゃん農法」と検索すれば見られます)。ご本人も動画の中で「炭素循環農法」と紹介されていますが、本家サイトの説明より格段にわかりやすく取り組みやすいと感じます。なお、菌ちゃん先生は農大を出られて県庁で農業改良普及員もされた方で、炭素循環農法だけでなくいろいろな有機農法を実践され、食育も含めて普及活動に幅広く活躍されています。「菌ちゃんふぁーむ」では栽培した野菜や加工品の販売もされています。
私の実践の経過
<2021年> 「炭素循環農法」を知りネットで猛勉強して、春から意気揚々と畑を作り始めました。しかし、梅雨から夏にかけて今までに経験したことがない程の多雨に祟られ、それまで順調に「発酵」に向かっていると思われた畑が一気に「腐敗」に傾いてしまいました。畑キノコが出なくなり、大きいミミズがあちらこちらに出現し、野菜には急に虫が付き始めました。冬取り野菜になってやっと虫に食われないものが少し採れるようになってきました(虫が少ない季節だから当然ですが)。近年日本を襲うようになった多雨が「炭素循環農法」の大敵であることを痛感しました。(炭素循環農法 その1 その2 その3)
<2022年> 今度は「菌ちゃん農法」を知りました。私が頭を悩ませていた多雨対策そのものであることと、その独創的なやり方に感激しました。今度こそと思いYouTubu動画で猛勉強を行い、2月から早速「菌ちゃん農法(炭素循環農法)」の畝作りに取り掛かりました。また、4月末には苗の定植を開始しました。