石垣積み(野面積み)と農道作り

石垣5b長さ約18m、高さ約1m程の石垣を積み、土手を広げて農道を作りました。業者さんにお願いすればきちんとしたものができるのですが結構な費用が掛かります。ここは何でもやってみたい私の出番で、エイヤッとばかりに挑戦です。

伝兵衛農園のある伊那谷はどこもかしこも斜面です。少し平らなところを作ろうと思えばまずはコンクリートや石垣で土留めを作ってから土をならす必要があります。私のご先祖がこの地を開墾して畑や屋敷を作り今に至るわけですが、開墾で出た石から始まり石垣を積んだ余り石なども畑の脇に結構転がっています。私の石垣積みはあちこちで邪魔物となっているこのような石の有効活用を図るためでもあります。

いつものように作業が調子に乗ってきた頃に最初の写真撮影となりました。次に示す写真は全長の約半分程を積み終え、農道を整地したところです。出番を待つ石も転がっています。

石垣01

上:半分程まで積んだ様子  下:これから積んでいく先

作業日程

 バックフォー借用 作業開始 H28(2016)年 3月30日
 石垣と農道の全完成     H28(2016)年 4月30日 丁度1ヶ月

農作業、他の実験や工作、地域のお役 の合間の 楽しい土木作業 となりました。それぞれ頭や身体の使い方が違うので気分転換にもなります。

・農作業 = 観察力や忍耐力のいる仕事
・実験や工作 = 考えたり工夫する仕事
・地域のお役 = 人との交流とお酒を飲む仕事
・土木作業 = 考えて決断することと力仕事(細かいところはバックフォーでは出来ないので、結局は力仕事になってしまう)

作業の内容と手順

1.農道を作るに当たり、コンクリートで壁を作るか石垣を積むかでかなり悩みました。結局、戦国時代のお城の石垣のように「野面積み」で自分で石垣を積むことに決めました。

2.頑丈できれいな石垣を作るには、まずはきちんと勉強をすることが大事です。業者さんに聞くのも良いのですが下手をすれば仕事を取られて思わぬ出費に繋がってしまいます(業者の皆さんすみません)。ネットを見れば十分な情報があります。実のところ私は勉強不足のまま始めてしまいました。後悔はいつものことです。

3.近所の農家さんから大型のバックフォーを借用しました。このバックにはアームの先に爪が付いていてバケットを使って石などをつかめるようになっています。

4.我が農園のあちこちから石を集めてきました。大きな石は爪付きバックフォーで一つずつつかんできます。小中の石はダンプ付き農業用運搬車で運びます。慎重にやらないと運搬車が簡単にひしゃげてしまいます。(実際、バックフォーを引っ掛けて大事な運搬車がひしゃげてしまい、修理する仕事が増えました)

5.土手に生えている野芝や雑草は上手に剥がし裏側の余分な土を落として、畑に移し大事に生かしておきます。これは石垣の上の土をならして道にしたとき、野芝や雑草を元に戻して土が雨で流されないようにするためです。わざわざきれいな芝を買って植えるのはもったいないです。斜面ばかりの日本、雑草の役割は絶大です。

6.下段を少し掘って根石を敷きます。掘ったところはしっかりと突き固めた方が良いのでしょうが、体重で踏み固めた程度で済ませました。その上に2段目、3段目と積んでいきます。

7.上からの力や内側からの土圧で積んだ石が外側にせり出さないよう、石の上面の傾き角や積み上げの角度には充分気を付けたつもりです(感覚的でかなり適当ではありますが)。上に積んだ石が外側に滑り落ちるようでは絶対駄目です。私は3~10°位内側に傾くように石の面を選んで積んでいきました。外側から見える面には必要以上に気を遣わないようにしました。(野面積みらしく荒々しく)
地震などで簡単に横ずれや縦ずれしないよう、石がきれいに並びすぎないことにも注意しました。また、所々大きい石や根の深い石が入るようにもしました。

8.石を組む時、前側は下や横の石にできるだけ密着するようにし、後ろ側は小さめの石で高さを調整し上面の傾き角を決めます。この状態で石の上に乗ってぐらつかないことを確認します。その後、石と石のすき間(下側と横)に小石や土を突き込みました(これは後悔)。土手との間には小石や古コンクリートのガラを埋め、その上から土を突き固めていきました。
水はけを良くし冬の凍結で石垣がせり出さないようにするために、石の直ぐ裏側は小石だけで詰めた方が良いことを、作った後で知りました。後悔!。
(★ 今は8月草の季節。石垣の間から次々と草が生え出して石垣が草で覆われてしまいました。これでは草を刈るのも大変だし、草の根で石垣も浮いてきそうです。石と石の間に土を詰めてはいけなかった。後悔しきり・・・!。

9.石垣と土手の間に土を入れて踏み固めて平らにならし、先に書いたように野芝や雑草を並べて敷き(植え)道を完成させます。再び続きの石垣を同じように組んでいきます。

10.作業開始から丁度1ヶ月掛かりましたが、石垣と農道がとりあえず完成しました。農道を歩いたり車両が走っている内に土面が凹んでいきます。また、上に敷いた雑草面も元々がかなり凸凹です。そこで、1ヶ月程した後、凹んだところへ土を入れて平らにならしました。ここは草が自然に生えてくるのを待つことにしました。

作業全体を通して特に注意したことは「怪我をしないこと」です。特に石積みは手や指を石で挟まれないように注意する必要があります。挟まれると指や爪が簡単に潰されてしまいます。
子供の頃に石で遊んだ経験が結構生かせます。今の子供達はゲームや携帯ばかりで可哀想に思えてきます。「石積みなんか一生しねーよ」と言われてしまいますが、そういう理由でもないんですけど・・・。

各段階の写真

● 近所の農家さんから借りてきた爪付きバックフォー
+ 集めてきた石石石(まだまだ足らない)
+ 根石を並べ始めたところ
石垣3

● 根石を並べて上面の角度を調整
→ 後ろ側に石と土を入れて突き固め
 更に土を入れて平らに踏み固め

石垣8

左:根石と上面調整  中:土を突き固め  右:土を平らに踏み固め

● 2段目位まで積み上げた
「水糸くらい張れよ!」と言われそう・・・

石垣7

2段目位まで積み上げた

● 最上段まで積み上げて土を入れている

石垣9

最上段まで積み上がり土を入れる

● 踏み固めた土の上に取っておいた野芝や雑草を敷く

石垣A

土を踏み固めて野芝や雑草を敷く

● 石垣と農道が全て完成
 「ふぅー。できた!」・・・我ながら感慨深い・・・
 数年後にどうなっているか。不安と楽しみ。

石垣B

石垣と農道完成