猿追い払い 爆音機の自動動作

鳥獣害対策として農家で一般的に使われている爆音機を親機に接続し、猿を検知したときに自動的に数分間鳴り続けるようにしてみました。 この爆音機は、設定時間毎にLPGを金属筒の中で爆発燃焼させる方式で、制御回路は乾電池で動作するようになっています。

この種の爆音機は民家が近くにある場所では騒音問題が発生します。私の実験している場所は山沿いで、周りの住民の方々が猿の追い払いに協力的であるとは行っても、その方々の生活に支障が出るようでは問題です。気を使いながらの実験です。

bakonki1

手前:メインポールの親機  奥:爆音機

<爆音機回路を調べる>

爆音機を自動で鳴らすにはどうすればよいかを検討するため、爆音機の回路を調べてみました。その結果、次のことが分かりました。
➀ ガスはソレノイドバルブがONになっている間供給される。制御回路のボリュームツマミでON時間すなわちガス供給量を調整できる。ガスの供給量が多いほど大きな爆発音になる。
➁ イグニッションコイルが駆動されると二次側に高圧が発生する。それで点火プラグを放電させてガスに着火させる。
➂ 間欠タイマ回路は、抵抗ボリュームを通してコンデンサへ電荷を充電させ、コンデンサの電圧が一定値に達すると電荷を一気に放電させると共に各部を順に動作させる仕組みになっている。各部の動作とは、ソレノイドバルブの駆動およびイグニッションコイルの駆動である。コンデンサの電荷が放電されると再びコンデンサへの充電を開始する。間欠時間はボリュームのツマミで約1分間~数分間の設定ができる。
➃ 昼動作・夜動作の切替スイッチがあり、CDS(光センサー)の接続が切り替わるようになっている。
➄ 制御回路はトランジスタとPUTによるディスクリート回路となっている。ICは全く使われていないよく考えられた回路である。(一つだけ高圧発生時に生ずる電源ノイズが間欠タイマに影響を及ぼしている点が一つ問題と思われる。)
➅ 電源として単1乾電池が使われており、制御回路用には乾電池3本分の電圧4.5V程度が、着火イグニッションコイル用には乾電池2本分の電圧3V程度が供給されている。

<制御方式1>

回路基板自体には触れずに➅の電源部の変更だけで対応する方法を考えました。
猿検知時に親機からバッテリーの電圧約12Vが外部機器駆動用として出力されます。この電源から、制御回路用として5Vを、イグニッションコイル用として3.3Vを、レギュレータICにより作りそれぞれに供給します。次に回路図を示します。

BAKUONKIーDRV

爆音機自動駆動 電源回路方式

イグニッションコイルの駆動は大きなパルス状の電流が流れるので、L:68μH と C:電解1000μF+セラミック1μF による電源フィルタを通して供給しています(適当な手持ち部品を活用)(この電源フィルタは無くても問題ない)。親機からの外部駆動電圧線は雷対策のためシールドケーブルを使い、シールドは親機と爆音機の両方で接地します。

基板加工機でプリント基板を作り、爆音機の電池エリアに組み込むようにしました。

いろいろと考えていて心配になってきました。もし、雷サージが入って親機の外部駆動のFETが短絡破壊すると、爆音機が動作しっぱなしになります。更に爆音機の回路にまで雷サージが入って、もしソレノイドバルブが動作しっぱなしになったことを考えるとガス漏れ状態となります。ここで何らかの火の気があれば爆発し山火事にもなりかねません。
爆音機の電源が自分の作った回路から直接供給されることが最も心配です。

<制御方式2>

回路基板を変更して、➃のCDS(光センサー)の昼回路にフォトカプラを挿入し、親機からの駆動電圧12Vが入ると昼間であれば爆音機が動作するように考えました(昼夜切替スイッチのリード配線を変更するのみとして、回路の変更を最小限に抑えた)。フォトカプラにより爆音機の回路と親機の回路とは電気的に絶縁されるので、雷サージが爆音機の回路に入る心配も少しは減ります。親機の駆動電圧は制御方法1と同様でいけます。 ケーブルのシールドの接地は制御方法1と同様、もしくは親機のところで接地です。

BAKUONKIーDRV2

爆音機自動駆動 フォトカプラ方式

蛇の目基板で簡単な基板を作り爆音機の基板に重ねて固定し配線の変更を行いました。

最終的には、方式2で動作させることにしました。爆音機に(本来の)電池が必要ですが、より安全を考えればこちらかなぁと思いっています。大事になっては元も子もありませんから。

<親機プログラムの変更>

制御方法1、2共に、親機のプログラムは同じです。
猿検知器は人間のように体温を持っている動物を検知しますので、猿だけを捕らえることは不可能です。現在のところは鳥がセンサーの前に飛来してきた時に反応することが多いようです。そのような時には爆音機は鳴らしたくありません。
猿は基本的に集団で行動することがほとんどで、最初の見張りの猿が来て安全が確かめられると後の集団が来るというパターンのようです。そこで、センサーが5分以内に2度反応したら、爆音機を3分間鳴らし続けるようにプログラムしてみました。爆音機の爆発はできるだけ短い間隔になるようツマミを調整しておきます。(私はより短い間隔で動作するように、爆音機基板の間欠タイマ回路のコンデンサなどの値を変更しています。自己責任です。)

<設置した様子>
BAKUONKI2

爆音機設置 親機とケーブル接続

爆音機を設置して1週間になりますが猿が来てくれません。猿検知+警報音だけで直ぐに人が駆けつけてくるので、猿も諦めてくれたのかもしれません・・・。そんなに甘くないか~。

園主から様子が聞けたらまた投稿したいと思います。

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