7月の終わりから梨の収穫が始まっています。これから品種毎に9月下旬頃まで続きます。
幸水(早出もの)7月終わりから8月中旬 幸水(普通もの)8月中下旬 二十世紀 9月上旬 豊水 8月下旬から9月中旬 南水 9月中旬から下旬
梨穫り → 品種により除袋 → 選果 → 出荷先により箱詰め → 出荷 と家族総出の作業です。
梨ばかりではありませんが収穫に至るまでの準備期間が長く、時に嫌になる作業も決して少なくはありません。この間収入は当然ゼロです。今年も全く無事と言うわけにはいきませんが、何とか収穫にたどり着きました。出荷ができれば(出荷先にもよりますが)2~3ヶ月程でやっと収入も入ってきます。良い果物が出せて、かつ値段も良ければ1年の内で一番嬉しいときです。
幸水の収穫
赤梨系の幸水はみずみずしさと共に甘みの強い梨です。夏場、最初に市場に表れる梨で贈答用として好まれます。
ちょっと古いスマホで撮影した画像ですのでダイナミックレンジが小さく白く潰れています。補正してやっと見られる画像になりました。
この園は防鳥ネットをしています。ネットを張るのが少し遅れてしまい、鳥の害(果実を突かれる)が例年より多く出てしまいました。鳥の被害果は基本的に出荷が出来ません。被害程度の軽いものは地元で様子を知っている方々に無人販売で買ってもらうか、我が家で食べます。被害の酷いものは畑に穴を掘って捨てるしかありません。
豊水の収穫
赤梨系の豊水はみずみずしく甘いだけでなく酸味が効いていてパンチのある味です。形も大きく少し凸凹している特徴があります。
収穫は梨の中では最も難しく、より熟しているものからと言うのですが私のような経験の浅い者には熟している程度がよく分かりません。獲った梨を「これはまだ若い」と息子に言われながらもめげずに穫っていきます。
二十世紀の収穫
青梨系の二十世紀は赤梨系に比べてきめが細かく甘みは少ないのですが、それが良い(ヘルシー)というニーズがあります。
二十世紀は袋が掛けられているので熟期を目で判断するのは無理です。いくつか袋を破って熟期の大まかな判断をしたら、後は結局大きいものから穫っていくことになります。私のような経験のない者には至って簡単です。袋を外すのを除袋といいますが、除袋してみると色づきにバラツキがあるのはやむを得ません。
袋掛を忘れられた梨もあります。このような梨を「サンセーキ(サンシャイン二十世紀の略か?)」と呼んでいますが、肌は袋を掛けたものと比べるとかなり粗いです。太陽が良く当たっているので糖度が高くて美味しいです。農園によっては「サンセーキ」を作って出荷するところもあるようですが、我が農園では「サンセーキ」は処分対象です。
南水の収穫
(スマホの写真であまり良い画像ではありません)
南水は赤梨系で糖度が高く人気のある品種です。保存性も良いです。
南水の収穫は割と長丁場で2週間以上掛けて行います。二十世紀と同様に袋が掛かっているので一つひとつ熟度を見ながら収穫するのは大変です。収穫量が少しならば袋を少し破って見て判断することもできるのですが・・・。というわけで我が園では大きいものから収穫していきます。南水は割と大型の品種なので大きいものは袋がパンパンに張って、中には破れている物もあります。当初小さい物も収穫が進むにつれて結構大きくなっていきます(玉伸びが良いと言っています)。
二十世紀と同様に袋を掛け忘れられた「サン南水」もできます。美味しいのですが、これも処分対象です。
農業について雑感
農業について政府は、六次産業化・成長産業化と言っています。六次産業とは第一次産業(農業・生産)+第二次産業(工業・省力化)+第三次産業(商業・販売)=六次産業 と言うことのようで、我が農園のような家族経営では第一次産業(生産)で手一杯でとても第三次産業(販売)までは手が出せません。
私が退職するときに多くの同僚から「農産物をネットで売ればいいんじゃない」と言われました。一次期実際に息子がネット販売をやってみましたが、時間的・精神的負担が大きく生産にも影響が出てしまうため諦めたようです。我が農園は生産に徹し、販売は農協や流通業者さんに任せた方が良いと考えを改めました。農協や流通業者さんもそれで生きていけるわけですから、持ちつ持たれつの従来通りのやり方が良いと思うのです。
企業経営にして生産専門の人、省力化専門の人、販売専門の人を雇うことでなければ六次産業化はできません。政府の言う六次産業化・成長産業化は生き残るために「企業経営にしなさい」「企業経営に任せなさい」と言うことです。それによって農業も投資の対象にもっていきたいということです。
JAも怪しくなってきましたし、私たちの様な従来からの農家のやり方はこれからどうなっていくのでしょうか。