梨の摘果作業

こんどは摘花作業ではなく摘果作業です。両方とも「てっか」と呼び、紛らわしいです。

5/1頃から作業が始まりました。とは言っても私の嫁さんがひとりでコツコツと始めてています。他の人たちはまだ思い思いの別仕事をやっています。私は5/4から手伝い開始。5/6からは人もお願いしていよいよ作業が本格化します。
梨畑は大きく5つの畑がありますがそれぞれに品種が混在しています。それは、元々異なる園主が栽培していたところを借りて栽培しているためです。

二十世紀

二十世紀は1つの梨畑だけに植えられています。本数も少ないです。
この品種は葉の勢いが特に強いのが特徴です。先日の受粉作業の結果、次の写真のように実が付きました。

二十世紀3

二十世紀 摘果前

摘果作業の前と後の様子を示します。2~4番花の中で割と大きくて形の良い実を一つだけ残して後は摘み取ってしまいます。花そうの中で一番元にある一番花や一番先端にある中心花はあまり良い実にならないので基本的には摘み取ります。なお、この段階で一番花は残っていない事も多いので一番元にあるから一番花とは限りません。小花と呼ばれる脇の花の実も摘み取ります。小花の実は先の王冠部が特に大きいのですぐわかります。
最終的にできれば仕上げ摘果を行い、1.5~2花そうに1果程度にします。

二十世紀1

摘果作業前

二十世紀2

摘果作業後

二十世紀霜4

凍霜害か? アザが見られます

4/12の凍霜害の影響が心配でしたが、二十世紀は影響が少なく受粉も割とうまくいったようです。それでも次の写真のようにアザがあったり変形した実も少しあります。薄いアザなら熟す頃には目立たなくなることもあるので期待します。

南水

5/6 近くの方にお手伝いをお願いし、いよいよ南水から真剣作業開始です。南水は3つの梨畑に植えられています。心配した着果ですが、どの畑も5/12の凍霜害の影響で雌しべがやられたため実の数もあまり多くありません。最低必要な数は確保できても良い玉は少ないです。
今年は凍霜(とうそう)害、昨年は雹(ひょう)害、4年前は酷い凍霜害と、何らかの異常気象の影響が毎年あり農業も大変になっています。このままいくと食糧危機も心配になります。(数年前までは、悪い年が時々はあっても、安定した年がもっと多かったように思います)

南水2

南水の着果の様子(1花そうあたりの実が少ない)

他の梨と同じように形がよく美味しくなりそうな実を残します。一番花と中心花の実はできるだけ落としますが、他に良いものがなければ残すしかありません。

南水34

左:摘果前  右:摘果後

次のように小花と呼ばれる脇花の実は、いくら良さそうに見えても美味しい実にならないので全て落としてしまいます。

南水56

小花の実は大きくても落とします。 左:摘果前  右:摘果後

幸水

幸水は3つの梨畑に植えられています。まだ南水が全部終わっていませんが 5/11 幸水の摘果も開始しました。(例年ならば南水畑が全て完了した後に行っているのですが)
梨は基本的に2年目以降の枝にできた短果枝の先に成らせるのですが、幸水は1年目の枝の花芽である腋花芽(えきかが)の実も成らせるところが他の梨と異なります。

摘果のしかたは他の梨と同じです。一つの花そうの中で先端の中心花や最も元にある一番花の実はあまり美味しい梨ができないので落とします。凍霜害や雹(ひょう)害で変形したりアザのあるものも落とします。2~4番花の中で割と大きくて形の良い実を1つだけ残します。当然ですが小花の実も落としますが、小花かどうか判別が付きにくいものがあり困ります。

幸水は開花が他の品種より遅いため、写真でも分かりますが 4/12 の凍霜害の被害は少なかったようです。しっかり受粉させたため実もしっかりと付いています。

➀ 短果枝の実

幸水2

短果枝 摘果前

幸水1

短果枝 摘果後

➁ 腋花芽の実

幸水3

腋花芽 摘果前

幸水4

腋花芽 摘果後

ここでは本摘果も一緒にやっています。本摘果は最終的に2.5花そうに1つ程度の実だけを残す摘果です。本摘果で残った実を最終的に実らせて収穫することになります。それまでには病害虫・雹害・天候不順など最後まで心配は尽きません。「今年もきれいで美味しい梨が沢山とれますように」と祈るばかりです。

➂ 凍霜害の被害果

幸水_凍霜害この写真は凍霜害でやられた幸水です。①の実には大きな凹みができています。➁の実には大きなアザがあります。これらの実は大きくなっても悪いところがそのまま残り商品にはなりません。

昨年は非常に多くの実がこのような被害に遭いました。それに比べれば今年の被害果はまだまだ少ないです。

5/19 幸水の摘果がが全て終了しました。

豊水

5/20 豊水の摘果開始。豊水は主に3つの畑に植えられています。
摘果のやり方は他の品種とほとんど同じです。ただし、実が大きくなってから落果しやすい品種なので真上に向かって成っている実はできるだけ落としてしまいます。また、真下に向かって成っているものもあまり良い物ができないので落としてしまいます。(他の品種も同様です)
この品種は花の開花が割と早いので4/12の凍霜害でかなりやられてしまいました。次の写真のように中心花しか結実していないところも目立ちます(中心花は咲くのが遅いので被害を免れた)。中心花は好まれませんが他に無ければ残すしかありません。

豊水中心花のみ

豊水 凍霜害で中心花しか結実していないところも

摘果作業終了

5/23 今年の梨(二十世紀・南水・幸水・豊水)の摘果作業が全て終わりました。仕上げ摘果は、次の作業(袋掛けなど)に間に合うよう、息子(園主)夫婦? が順次やっていきます。