梨の受粉作業

梨の受粉作業を行いました。まずは 南水 という品種からです。我が農園では花の咲く順に、南水 → 二十世紀 → 豊水 → 幸水 というように、数日掛けて受粉を行っていきます。今年は暖冬で開花が早く、どの品種も一斉に咲いてきたという感じです。花が濡れていると作業ができないので、天候を見ながら花が散る前には作業を終わらせなければなりません。結構気をつかう作業です。
今年(平成28年)の梨の受粉作業は4/14(金)~19(火)で、雨や強風のため2日程お休みし丸4日間ほど掛かりました。なお、南水は2回、それ以外の品種は1回としました。できれば全品種2回できれば良いのですが、次の作業(リンゴの一輪摘花)が待っているので今年はこれで終わりです。暖冬のせいかいろいろな花が一斉に咲いて、仕事が一気に忙しくなります。

受粉作業

受粉作業の様子

農園とは言え家族経営です。家族総出で、お手伝いの方もお願いして一気に作業を行います。
作業の内容は下の写真のように花粉を付けたぼんぼりを花の雌しべに触れ、手作業で受粉をさせていきます。上を向いて手を上げたままの作業で結構つらそうに見えます。事実、上手に力を抜きながらやらないと肩が凝ります。慣れればどうって事はありません。

受粉作業2

ぼんぼりで受粉

きれいに花が咲いて順調に作業が進んでいるように見えますが、よくよく花を見ると

霜害花

雌しべが駄目になっている!

1の花の雌しべは正常のようですが、2と3の雌しべはどうも駄目になっています。これでは実が成りません。数日前(4/12)に朝方の気温が 氷点下2℃ まで下がり凍霜害に遭ったようです。その時にはまだ下の写真ように大部分が蕾(つぼみ)の状態でしたが、それでもやられたようです。畑によっては花の半分以上がやられている感じです。

蕾

こんな蕾の状態でも霜にやられたようです

一つの花の株に10程の花が咲きますが、この花の株を花そうと言います。最終的には3花そうで1つの実がとれれば良いので、単純に考えれば30の花で1つの実がとれれば良いことになります。悪い年にはそれでも実が採れないこともあります。ただし、花の位置によってほとんど使わないところもあるので、単純な花の数だけで考えられるわけではありません。

受粉の結果が分かるのは2週間後くらいから行う摘果作業です。実が成らないのは最悪ですが実が成っても表面に凹みやアザがあれば駄目です。きれいな実が必要なだけ付くか否かです。状態が悪ければ今年は勉強と思って、来年以降の対策につなげなければなりません。

4/12 の低温は天気予報で分かっていました。また、夜中に自作環境監視システムの低温警報も鳴りましたが「まだ蕾だから大丈夫だろう」という判断で何も対策をしませんでした。我が農園では防霜ファンなどの電気設備はまだ設置していませんので、対策といっても火を焚く位です。それでもやらないよりはましです。今後の果実の様子を見て来年に生かしたいと思います。

受粉その後
豊水_凍霜害1

着果(結実)した花は雌しべがしっかりしている

豊水の受粉後の着果(結実)の様子を写真に撮ってみました。撮影は 4/29 です。

「着果」した花の先端にはしっかりした黄緑色の雌しべがまだ付いています。それ以外の花の雌しべは萎れているか欠損しています。これを見ると凍霜害で雌しべがやられた花はいくら受粉させても着果しないことが分かります。