高所作業車自作 その1 主要材料調達

運搬車を改造して製作したコンパクトな高所作業車。ここでは主要材料の調達などの準備について紹介します。

1.運搬車の調達と荷台の取り外し

近くのリサイクル店で中古のキャタピラ式運搬車を安価で購入しました。自宅への運搬は当然愛車のトヨタライトエースワゴンにて。店の人も驚いていました。
荷台は手動ダンプ構造であったため取り外しも簡単に行うことができました。車体の運転系はかなり老朽化していますが、とりあえず動くのでそのまま使うことにしました。

2.油圧ユニット・油圧シリンダの調達

最初に単体の油圧ポンプと電磁弁をヤフオクで調達しましたがとても素人の手に負える代物ではありませんでした。いろいろと調べるとポンプと電磁弁とシリンダだけで済むものではないことも分かってきました。「油圧は素人がそう易々と扱える物ではない」と言われた気持ちです。
今までに調達したものは授業料と諦めて、ずっと気になっていた油圧ポンプ・タンク・電磁弁・安全弁などが込みになったオールインワンの有り難い油圧ユニットをヤフオクで購入することにしました。今回の用途では単動1CHでよかったのですが、他に試したいことがあったので単動+復動の計2CHのものにしました。

油圧ユニット

有り難い オールインワン 油圧ユニット (ヤフオク画像 出品者の許可を得て掲載)

油圧シリンダは、大型トラックのウィング開閉に使われていた適当な物(ストロークの長いもの)をヤフオクにて調達しました。中古ですので許容加重等のデータはありません。大型トラックのウィングならば負荷的には同程度と感で判断しました。

油圧シリンダ

油圧シリンダ

後になって単動シリンダが必要なことに気が付き、スタクセル・エンジニアリング様に泣きを入れて問い合わせたところ、復動シリンダの引き側のポートを開放状態にすれば良いことや、解放ポートはゴミの侵入防止として空気用サイレンサでふさげば良いことなどを教えて頂きました。

概要にも記しましたが、油圧ユニットの購入先の スタクセル・エンジニアリング様 には、油圧に関する理論的・技術的なアドバイスをいろいろと頂きました。

◆油圧ユニット:12Vタンク一体型スノウプラウ油圧ユニット(スタクセル・エンジニアリング)
 ・ オールインワン
    油圧ポンプ、モーター、タンク、制御ソレノイド、リリーフバルブ 等 一体化
 ・ 単動1CH 復動1CH 計2CH
 ・ モーター DC12V 1.5KW 最高圧力12MPa(回転数2500rpm 目安値)
 ・ リリーフバルブ 12MPaで作動
 ・ タンク容量2L、ポンプ吐出量2.1ml/r(= 88ml/s 目安値)
 ・ 油圧ポートNPT1/4
◆油圧シリンダ:大型トラックのウィング開閉用の取り外し品(ヤフオク)
 ・ 復動 ケース直径60mm 本体長約600mm(縮んだ状態の両端ピン穴間)
 ・ ロッド 直径25mm ストローク300mm 両端ピン穴φ20mm
 ・ 油圧ポートR1/4
 ・ 2本セット

3.油圧ホース・変換アダプタなどの調達

油圧の接続には管用ネジが使われていることを知りました。管用ネジには多くの規格が存在し、今回のシステムでも何種類かの変換アダプタが必要となりました。いろいろと調べてやっとのことで自分の必要な物が購入できるようになりました。(ネットのお陰で情報は十分にあります)

油圧ポンプは当面単動側のみを使用します。油圧ポートにはNPT1/4-G1/4変換アダプタを取り付けました。使用しない復動側のポートはNPT1/4プラグ等でふさぎました。
油圧シリンダのポートにはRc1/4-G1/4の変換アダプタが元々付属していました。今回単動として使いますので、押し側ポートには油圧ホースを接続し引き側ポートは開放とします。解放ポートにはアドバイスを頂いたように空気用サイレンサを取り付けました。

◆NPT1/4-G1/4オスシート 変換アダプタ:SR-13NPT-6-SS(清水製作所)
◆NPT1/4プラグ 黄銅製プラグ P-NPT1/4オネジ-B(継ぎ手マート)
◆Rc1/4-G1/4オスシート 変換アダプタ:SR-13-6-SS(清水製作所)
 (今回はシリンダに付属していたため不要でしたが、もし購入するなら)
◆空気用サイレンサー BN-26T01-8(日本精器)ネジRc1/4 
◆油圧ホース パスカラート PA2104(両端金具F) (ブリジストン)
  両端金具G1/4メスシート 長さ800mm 最高使用圧力20.5MPa 最小曲げ半径70mm
 (当初最高使用圧力7MPaのホースを使っていましたが、現在はこれにしました)

4.エンジンをセル付きに乗せ替え

油圧システムが12Vのモーター駆動であることから12Vのバッテリーが必要になります。バッテリーを搭載するならエンジンもセル付きにすれば、乗ったままで始動できますしバッテリーへも充電されるのではないかと考え、エンジンを載せ替えることにしました。
出力シャフトの太さや位置などを調べてヤフオクで使えそうなものがありましたので調達しました。このエンジン、キャブや調速機など後で相当苦労させられることになりました。怪我の功名、エンジン素人の私にとって大変良い勉強となり、農機具エンジンのキャブの掃除くらいならもう怖くなくなりました。
シャフトのVベルトプーリーは簡単に付け替えができました。

エンジンルームの空き部分にバッテリーを搭載しました。完成後になってエンジンによる充電は全く期待できず、使用前に必ず充電が必要なことがわかり、バッテリーも大き目のものを使うことになりました。

イグニッションスイッチ をネットで購入して取り付け、コネクタにより配線をしました。

エンジン載せ替え

エンジン載せ替え と イグニッションスイッチの接続

◆載せ替えたエンジン ロビン ガソリン EH17型 6馬力 セル付き(ヤフオクにて)
 (元のエンジン   ロビン ガソリン EH18型 6馬力 手動掛け)
◆バッテリー 55B24R 電圧12V 容量55Ah 幅129mm×高さ203mm×長さ240mm
  (完成後に使用中のもの。剪定作業で満充電後2日程度持ちます)
◆イグニッションスイッチ ES221(山口電機工業) OFF-ON-ST DC12V 15A
◆コネクタ カプラー4極ロック式 ITEM No.1124(エーモン工業)
      オスハウジング+メスピンのみ使用
イグニッションスイッチ接続

図1 イグニッションスイッチの接続


関連ページ

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高所作業車自作 その2 理論計算1
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高所作業車自作 その4 仮組立とアーム破断
高所作業車自作 その5 塗装と最終組立
高所作業車自作 その6 理論計算2
高所作業車自作 その7 強度計算にチャレンジ